Being For The Benefit Of Mr. Kite ! 【ミスター・カイトのために】 – The Beatles

SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND,The Beatles

composed by John Lennon & Paul McCartney ©1967 Northern Songs Ltd.
 

カイト氏のために今宵トランポリンの上でショーが開かれます
パブロ・ファンク劇団にいたヘンダーソン家が総出演
これは見逃せませんよ!
人も馬もくぐり輪もガーターも跳び越えて
最後には本物の火がついた樽を通り抜けるんです
こうしてK氏は世界に挑みます

 

ビートルズが1967年にリリースしたアルバムSGT.PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BANDの7曲目(LP盤ではA面ラストナンバー)。クレジットはLennon – McCartneyだが実質的にはジョン・レノンの作品である。

ビートルズが同年に発表した両A面シングルストロベリー・フィールズ・フォーエバー/ペニー・レーンのプロモーションビデオ撮影のためイギリスのケント州を訪れていた時に偶然入った骨董屋で見つけた1843年のサーカス団のポスターの宣伝文句からヒントを得て作った曲で、歌詞に出てくる言葉はこのポスター内から引用されている。

ジョンはプロデューサーのジョージ・マーティンにこの曲の到達イメージを『カーニバルのような雰囲気』、『おがくずの上を歩いているような雰囲気』という抽象的な言葉で説明していた。ポール・マッカートニーはちゃんと言葉で指示をくれるのに対してジョンはこのようにイメージで指示することが多く、皆も大変だったそうだ。

ジョンはこの曲で古いスティーム・オルガンを使いたがっていたが、鍵盤を使って演奏できるスティーム・オルガンは存在しなかったためマーティンがハモンド・オルガンで似た音を作って録音した。エンディングではジョンがオルガンでメロディーを弾き、マーティンは別のオルガンで半音階をせわしく弾いた。それでも曲のイメージを醸し出すにはまだ何か足りない。そこでスタジオのサウンドライブラリからオルガンの音素材を集め、それをテープに録音し、小楽節ごと…だいたい30センチくらいにカットし、それを宙に放り上げて適当に拾ってつなぎあわせたものを曲のバックで流すことにした。

ジョンは最初「つまらない曲だ」とけなしていたが、暗殺される直前の1980年のインタビューでは「すばらしい曲だ」と意見を変えている。


John Lennon (1968)
'Mr. Kite’ was a straight lift. I had all the words staring me in the face one day when I was looking for a song. It was from this old poster I’d bought at an antique shop. We’d been down to Surrey or somewhere filming a piece. There was a break, and I went into this shop and bought an old poster advertising a variety show which starred Mr. Kite. It said the Henderson’s would also be there, late of Pablo Fanques Fair. There would be hoops and horses and someone going through a hogs head of real fire. Then there was Henry the Horse. The band would start at ten to six. All at Bishopsgate. Look, there’s the bill– with Mr. Kite topping it. I hardly made up a word, just connecting the lists together. Word for word, really.
 
「ミスター・カイト」はそのまんまさ。曲の素材を探していた時に僕の目の前に飛び込んできたんだ。それは骨董品屋で買った古いポスターだった。サリーだかどこだか撮影のために行った場所で休憩中に立ち寄った店でカイト氏をフィーチャーしたショーの宣伝ポスターを買ったのさ。そこにはパブロ・ファンク劇団にいたヘンダーソン家のことも書いてあった。それにくぐり輪と馬、火のついた樽を通り抜ける、馬のヘンリー、バンドの演奏は6:10から、会場はビショップスゲート、トリはカイト氏…なにもかもがそこに書いてあったことなんだ。

John Lennon (1972)
The story that Henry the Horse meant 'heroin’ was rubbish.
 
「馬のヘンリー」は「ヘロイン」のことだった、なんて話はあまりに馬鹿げてる。

John Lennon (1980)
It’s all just from that poster. The song is pure, like a painting. A pure watercolor.
 
ポスターから引用したんだ。純粋な曲だね。絵画みたいだ。水彩画だね。

George Martin (1982)
彼はあるポスターからインスピレーションを得ました。それは懐かしいサーカスのポスターで…歌詞の端々にその趣がよくあらわれています。そこで最初は「ミスター・カイトのために」というタイトルを付けました。彼はこの曲に遊園地やサーカスの雰囲気をふんだんに盛り込みたいと考えていました。だからこの曲では「音で雰囲気を創り出す」という新しい手法を試みることにしました。中ほどに馬をテーマにした箇所があるんですが、彼に1台のオルガンでメロディーを弾かせ、私は別のオルガンで半音階をせわしく弾きました。手回しオルガンのグルグル回るサウンドを作り出すためです。しかしそれでも雰囲気を醸し出すにはまだ何か足りない。そこでライブラリーをあさってスチームオルガンのサウンドを集めました。それをテープに録音して、スタッフに頼んで小楽節ごとにカットしてもらいました。手当たり次第…30cmくらいです。カットし終わったらそれを宙に放り投げて…適当に拾ってつなぎ合わせました(笑)。

My Recording Data

Environment

HostApple iMac MC509J/A
ApplicationApple Logic Pro 10.2.4
Audio I/FRoland UA-55
 

Tr.1 :: Drums

  • KONTAKT 5 – NI ABBEY ROAD 60S DRUMMER
  • Channel EQ > Compressor > Space D > Limiter

 

Tr.2 :: Bass

  • Rickenbacker 4001 C64 (mix – full)
  • Guitar Rig > Compressor

 

Tr.3 :: E.Guitar

  • FGN NCST-10R (rear)
  • Guitar Rig > Channel EQ > Compressor > ADT

 

Tr.4, 5 :: Bass Harmonica

  • KONTAKT 5 – Double Bass Harmonica
  • Channel EQ > Space D > Compressor

 

Tr.6 :: Harmonium

  • KONTAKT 5 – Harmonium
  • Channel EQ > Compressor

 

Tr.7 :: Organ 1

  • GarageBand – Church Organ
  • Channel EQ > Space D > Compressor
  • イントロのテーマを弾いているスチームオルガンっぽい音。

 

Tr.8 :: Organ 2

  • Vintage B3
  • Channel EQ > Compressor
  • 間奏のバックで登場するやや高音寄りのオルガン。

 

Tr.9 :: Organ 3

  • Vintage B3
  • Channel EQ > Compressor > ADT
  • 間奏とエンディング冒頭でSE的に使われているオルガン。半音階を上昇下降するフレーズがメイン。

 

Tr.10 :: Organ 4

  • Vintage B3
  • Channel EQ > Limiter > Compressor
  • 間奏はギターのサポート。エンディングはSE。

 

Tr.11 :: Organ 5

  • Vintage B3
  • Tremolo > Chorus > Channel EQ > Space D > Compressor
  • エンディングでメロディーを弾いているパート。

 

Tr.12 :: Organ 6

  • EVB3 – Classic Blues 02
  • Channel EQ > Compressor
  • エンディングでバッキングをとっているパート。

 

Tr.13 :: Piano

  • exs24 – Steinway Grand Piano
  • Channel EQ > Exciter > Limiter > Space D > Compressor

 

Tr.14 :: Glockenspiel

  • exs24 – Glockenspiel
  • Channel EQ > Compressor > Space Dsn

 

Tr.15 :: SE

  • Sculpture – Moving Pad
  • St-Delay > Exciter > Space D > Limiter
  • エンディングのSE

 

Tr.16 :: Tambourine

  • Tambourine (Headless)
  • Chan EQ > Space D > Limiter

 


History

2016.11.03: version 2.1
2012.02.14: version 2.0
2003.05.03: version 1.0

Diary


Sources