Footprints – Paul McCartney

2021/11/20eXtra

外は美しい雪景色
老人が薪を集めてる
ここにいる僕に気づくだろうか
彼の心は別のところに

友に見捨てられ
寒い地に取り残された
僕の暖炉に招こうとしても
雪の中にいたいんだと言う
足跡が消えない
その雪を見ていたいと

日が落ちてきた
老人は家路につく
誰かが待っているんだろうか
それともひとりぼっちなのか
その足跡は消えない
雪の上に残ったまま

白い帳が隠すのは
彼女には見せなかった涙
白い帳が覆うのは
遠い昔の思い出
あの頃の記憶
でも彼はずっと心を痛めてる
いつか彼女が戻ってくるのを待ち続けて

美しい雪景色
餌を探してる鵲に
老人はパンくずを投げる
友達が見つかったのか
その足跡も消えない
彼は安堵する

白い帳が隠すのは
彼が選ばなかった道
白い帳が覆うのは
彼が逃げてきた過去

白い帳が隠すのは
彼女には見せなかった懺悔の涙
白い雪が覆うのは
過ぎ去りし日々の記憶
懐かしい思い出
でも彼はずっと心を痛めてる
いつの日か彼女が戻ってくると信じて

ポール・マッカートニーが1986年にリリースしたアルバム「プレス・トゥ・プレイ」の4曲目。このアルバムに参加した10ccのエリック・スチュワートとの共作。

アルバムの他の収録曲と同じく打ち込みのパーカッションがリズムを刻みシンセサイザーやフェイザーをかけたギターの装飾音も随所に入っているが、基調になっているのは2本のアコースティックギターとスピネットというシンプルな構成。

It came from an image of a magpie looking for food out in the snow. Eric and I changed the magpie into an old man, although the magpie came back for the third verse. The old man is out there looking for Yule logs or something, like the character in ‘Good King Wenceslas’.. .The song goes into what his story might have been, the heartaches there might have been…” Indeed, the lines ‘His heart keeps aching in the same old way/He can’t help feeling that she might come back some day‘ recall the sentiments and melodic sweep of ‘Another Day‘. A Spanish guitar sparkles and there’s even a spinet, a small harpsichord with a string for each note more readily associated with Sir John Betjeman than Paul McCartney.

雪の中でカササギが餌を探してる…そんな場面をイメージしたんだ。僕とエリックはカササギを老人に置き換えた。結局カササギも3番で戻ってくるんだけど。年老いた男が外で薪木か何かを探してる。「ウェインセラスはよい王様」の登場人物さながらにさ。そして曲は彼自身の物語、彼が抱えているであろう心の痛みに踏み込んでいくんだ。実は「彼はずっと心を痛めたままだ。いつか彼女が戻ってくるという思いを捨てられない」という下りは「アナザー・デイ」の感傷的でメロディックな部分（彼女は時に寂しくて落ち込んでしまう。ひとり暮らしの部屋で彼がこの寂しさを埋めてくれる日を夢見て）とかぶっているんだ。スパニッシュギターと小さなハープシコードのスピネット奏でる旋律はポール・マッカートニーというよりむしろジョン・ベッチェマン卿っぽいかな。

ポール・マッカートニー（1986）