STAR WARS – The Last Jedi 【最後のジェダイ】

「衝撃」が期待される2作目

「フォースの覚醒」から始まったレイ3部作の2作目。
これまで「スター・ウォーズ」は3年ごとに新作公開だったが、今シリーズは2年ごと。早めに見られるのは嬉しい。

ルーク3部作の2作目「帝国の逆襲」は課題山積、謎が謎として残ったまま幕を閉じてしまい、その衝撃はとてつもなく大きかった。
修行途中でヨーダの下を去っていくルークを嘆くオビワンに「もうひとりいる」とヨーダが謎めいたつぶやきをする。ヒーローのひとりであったハン・ソロが帝国に捉えられてカーボン凍結されてしまう。そしてラストではダースベイダーが「私がお前の父だ」という驚愕の告白をする…それを知るファンとしては「2作目はなにかとんでもないどんでん返しがある」という期待を抱かずにはいられない。

ハン・ソロは実は生きているのではないか?
フィンは過去のジェダイの末裔ではないのか?
ルークとレイの親子関係が明かされるのではないか?
レイが暗黒面に堕ちるのではないか?
まさかルークが暗黒面に…
 

過去との決別

(これ以降ストーリーのネタバレをガンガン書くので知りたくない人はここまでにしておいて)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

今回の作品はそういった「謎」「衝撃」を求めるオールドファンの期待を見事に裏切った。
ハン・ソロは生き返らないし、ルークとレイは血縁関係にはないし、だれひとり暗黒面に転向しない。
さらに謎の悪役・スノークはその人物背景の説明もないまま殺されてしまい、特別扱いだと思われた銀色のストームトルーパー・ファズマもあっけなく死んでしまった。前作でC-3POの腕が赤かったことなど「そうだったっけ?それがどうしたの?」とばかりに徹底無視。
レイの親については一応明かされる形にはなっているがまだ含みを残しているので推量する余地が全くなくなったわけではない。しかし彼女が「スカイウォーカー」の血を引いている可能性はかなり低くなった気がする。

まるで無意味な推理を楽しみ、根拠のない期待を抱くオールドファンを嘲笑うかように。

主人公のレイが「スカイウォーカー」家の人間ではないということは、これまで「スカイウォーカー家の物語」として捉えられていたこのシリーズが大転換を迎えることになる。
カイロ・レン(ベン・ソロ)はレイアの息子なので「スカイウォーカー家」ではあるが、主人公はあくまで「レイ」。ルークもレイアも端役であることを考えれば今回の作品で「スカイウォーカー」は脇に置かれた形になる。

とはいっても、よく考えてみたら「ジェダイ」が「スカイウォーカー」からしか生まれないというのは不自然な話だ。「フォースはジェダイだけのものじゃない。ジェダイが死んだらフォースも消えてしまうなんて傲慢な話だ」とルークが言っていたように、フォースの素養は誰にでもあるしジェダイは決して「選ばれし者」だけがなれるというものでもない。

「帝国の逆襲」でのベイダーの告白、続く「ジェダイの復讐」で明かされたルークとレイアの出生の秘密、そして時を遡ったアナキン3部作でアナキンをイエス・キリストのような存在にしてしまったことでファンの間に「スカイウォーカーの血」に対する妙な固定観念が作られてしまったことは否めない。「スカイウォーカーにあらずんば(強力な)ジェダイにあらず」とでも言わんばかりだった。

しかし考えてみればルークだって「新たなる希望」だけをみればそこらの青年でしかなかったではないか。

ディズニーはこのシリーズを次作の「エピソード9」で終わりにするつもりはないらしい。であるならこの先ずっと話を続けるために「スカイウォーカー」の呪縛を断ち切らなければならない。

強大な軍事力を背景に宇宙を支配する勢力と、それに抗う勢力の物語。
話の骨子をここに戻さなければならないのだ。

そこで前作ではハン・ソロをサーガから葬った。
そして今作ではルーク・スカイウォーカーを葬り去ることにしたのだろう。
さらに次作でレイアが去れば旧作の遺物は一掃される。

そういった「過去との決別」が今回のレイ3部作のテーマなんじゃないか。
しかもこれまでのファンの反感を最小限に抑えながら、だ。

「最後のジェダイ」を見た後に真っ先にそう感じた。
僕も古くからのファンなのでちょっと寂しくはあるが、それだけこの「スター・ウォーズ」シリーズはディズニーにとってドル箱なんだろう。
 

The greatest teacher, failure is.

頭でっかちな一部のオールドファンを切る姿勢を見せつつ、それでもさすがスター・ウォーズ。ニヤリとさせてくれるシーンも多かった。

ファルコン号でR2と面会したルーク。
「R2?」と呼びかけるルークの声はそれまでのいじけた老人っぽくない・昔を思わせるような感じだったし、そこでR2がレイアの「助けてオビ=ワン・ケノビ」のホログラムを見せるのがなんともニクい。ルークが思わず「ズルいぞ」と言うが、見ているこちらもそう言いたくなる場面だ。
ルークとレイアが向かい合った時に流れるのは「ジェダイの復讐」でベイダーのもとに向かう前にレイアに別れを告げる場面での音楽。
石の惑星クレイトでファースト・オーダーのTIEファイターを引きつけるためにファルコンが疾走する場面では「帝国の逆襲」のアステロイド・フィールドの音楽。
音楽の力は絶大だ。過去の作品が自然に頭のなかにオーバーラップしてくる。

そしてパペットのヨーダが実に素晴らしかった。
あの優しい「ヨーダのテーマ」をバックに突如そこに現れたヨーダ。
決して若くないルークに向かって「若きスカイウォーカー」と呼びかけるいたずらっぽさ。時に笑い、時に肩を落とすあの仕草はまさに「ヨーダ」だった。CGでも同じ動きはできるのかもしれないけれども、やっぱりパペット独特の雰囲気は素晴らしい。フランク・オズいまだ健在である。

悩むルークに向かって「学んだことを伝えよ」と諭すヨーダ。

古い教義にならったジェダイの教えかと思いきや、
「お前の強さと同時に失敗や弱さも伝えるのだ。失敗こそが最高の教え」
ときた。

今回はこのヨーダのセリフが一番印象的だったかな。
 

レイの今後

とまぁオールドファンとしてはどうしてもルークだのレイアだのヨーダだのを基軸に考えてしまうのだけれども、今回の主役はあくまでもレイ。
ルークへの師事期間はあまりに短く、ルークから何かを会得したような感じはあまりない。そのルークを失ったことで彼女の力は彼女自身が使い方を学んでいくしかない状況になってしまった。劣勢どころかほぼ壊滅状態のレジスタンスとともにファーストオーダーにどう立ち向かっていくのだろう?

スノーク殺害に成功して最高指導者となったカイロ・レン。
レイとのやりとりではまだ迷いが見え弱々しく感じたが、最高指導者としてどう変貌していくのか?
軍内で微妙な関係のハックス将軍はレンの隙を見つけて寝首をかいてやろうという気満々に見えるのだが、まだゴタゴタがあるのだろうか?

前作で活躍し「ジェダイの末裔なのでは?」などと言われたフィンは今回やや地味だった気がする。どちらかというとポー・ダメロンの方が前に出ていた。彼らがどうやってレジスタンスの窮地を救うのか。

2年後がまたまた楽しみだ。