Rickenbacker 360/12

Guitar,MusicGear

Rickenbacker 360/12

購入年月日2015年4月5日
購入価格¥155,556
購入場所クロサワ楽器G’CLUB (渋谷)


ボディバックに小さな打コンはございますが、使用感の少ない美品中古品となります。
オリジナルハードケース、当社中古保証付

楽天市場 G-CLUB渋谷商品ページから引用

生まれて初めて12弦ギターを買った。

12弦って音はきらびやかでステキなんだけどそのステキさよりもチューニングと弦交換の面倒臭さが上回ってしまっていて、借りて弾くことはあっても自分で所有したいとは思ったことはなかった。ビートルズの曲を全曲宅録しようなんて考えてる僕としては本来避けて通ることのできないギターではある。しかしそこはテクノロジー。これだけのために高価なギターを買わなくてもRolandのV-Guitar使えばなんとかなると思ってきたし、実際なんとかしてきた。

つもりだった。

宅録ビートルズの2周目で最後に12弦を使ったのはRUBBER SOULのIf I Needed Someone。いつものようにV-Guitarでチャッチャと終わらせようとした。
でもなんか違う。ぜんぜん違う。こんな音じゃダメじゃん、
V-GuitarやDAWのアンプシミュのパラメーターをあれこれいじってみたけど、どうしても自分が納得できる音にならなかった。しかしできることには限りがある。最終的には妥協せざるをえなかった。

幸い12弦はこの曲で終わりだったので以降は気を取り直して粛々と作業を進めたが、これが原因でV-Guitarへの信頼は一気に消え失せてしまった。その後も辛うじてシタールで世話になったものの、このシタールもイマイチでそのままでは使えない。音が丸くて当たり障りがなさすぎだし、ダイナミクスも弱い。

そんなわけで、もはやV-Guitarは僕にとって完全に無用になってしまったのでハードオフへ。
結構高く売れた。今までありがとう。

見つけてしまった

ギターって眺めてるだけでも楽しくてデジマートとかJ-Guitarとかそういうサイトをちょくちょく見ているのだが、そこでたまたまRickenbackerの12弦が目に留まった。特殊なギターだけどビートルズギアなので世間的な需要はそれなりにある。だから別にビンテージ掘り出し物というわけじゃない。それなりに市場に出回ってる。ギターとしては見慣れたものだ。

ただ今回目に留まったのはその「価格」だった。

リッケンバッカーの楽器は高い。
ビンテージのリイシューとかになると特に高くてそうそう手が出ない。

僕が持っているギター、ベースで一番高価なものはリッケンバッカーのベース4001 C64。ポール・マッカートニーが1965年にリッケンバッカーから寄贈されて以降スタジオやステージで使い倒したベースのリイシュー版だ。発売直後の2003年で320,000もしたこのベースは生産が困難という理由から市場にあまり出回らず価格もグングン上昇。最終的には560,000まで値上がりし、とうとう廃番になってしまった。

ジョージ・ハリスンはビートルズ時代にリッケンバッカーの12弦ギターを2本使用した。今回目に留まった360/12は2本目の形状を踏襲した現行モデル。メーカーの希望小売価格は2015年4月の時点で450,000。リイシュー版でもないのにこの価格…ただでさえ高いメーカーなのに昨今の円安も手伝って僕のような普通の会社員にはすっかり縁遠いものになってしまった。

330-12-gh

ちなみにリッケンバッカーの12弦というと、このギターじゃなくてツンツンした角形状の360/12の方が人気が高い。

これはジョージ・ハリスンが最初に手に入れた12弦。映画A HARD DAY’S NIGHTでガンガン露出していたので世間的にはこちらの方が「ジョージの12弦」というイメージなんだと思う。
現行モデルは標準の330/12と、1963年の仕様を再現した330/12 C63の2つがラインナップされている。
330/12の価格は385,000でC63に比べると安いのだが、C63はなんと750,000もする。とんでもない。
いずれにしてもこの形なので僕は興味が無いのだが、標準とC63の違いを調べてみると…

  • ボディーとネックのバインディング。標準は無し。C63は有り。
  • 指板のR値。標準はR10インチ。C63はR7 1/4インチ。
  • ポジションマーク。標準はドット。C63は三角。
  • フレット数。標準は24。C63は21。
  • ボディーの形状。標準はC63よりもカッタウェイの切れ込みが深い。
  • ピックアップ。標準はハイゲイン。C63はビンテージ。
  • ブリッジの形状。標準は現行仕様のRシェイプ。C63はストレート。
  • ヘッドの機構。標準はSchaller Machine Head。C63はDeluxe Vintage Repro Machine Head。なにがデラックスなのかはよくわからんが。

…ふーん。

 
360-12-gh1

2本目の330/12は1本目と違って丸みのあるボディー。
ライブ等で露出された期間は1本目に比べると短い。
だからあまり人気はないのかもしれない。
2本目の12弦はコアなジョージのファンからしたら邪道な12弦なのかもしれない。
でも僕は角の尖った1本目よりも、丸い2本目の方が好き。好きなんだからしょうがないじゃん。

1966年の日本公演で弾いていたのはこちらだった。1曲だけだったけど。

 

360/12はジョージの2本目の330/12のボディー形状(360型)でピックアップがビンテージのトースター型ではなくハイゲインタイプになったもの。定価450,000。市場実勢でも360,000~420,000もするこのギターの中古が155,000で売られているのを見つけてしまった。カラーは僕好みのファイヤーグロー。

ところでCシリーズにもラインナップされなかったこの形だったけど、最近"360/12 Limited"と称して当時の復刻版が少数生産されてる。現行品との差異はフレット数とピックアップだけ。特に気合の入ったリイシューではない感じで、プレミアもつかず価格は現行品とほぼ同じだ。でも今回見つけたのはLimitedじゃなくて現行モデルの中古品。

ギターを弾き始めて約30年。
これまで所有する気になれなかった12弦に何故か「ビビッ」と来てしまった。
多分「この色でこの価格」だったからと思う。200,000以上なら躊躇したし、安くてもでもボディーが黒やルビーレッドの塗装だったらスルーしてた。

こうなると居ても立ってもいられない。
しかし全く触ったことのないタイプのギター。何の予備知識もなくいきなりポチるのは危険すぎる。

土曜の夜中に在庫確認のメールをショップに送り、翌朝その返事を待たずに電車に乗った。

弾丸ツアー

ショップは東京だ。遠い。
新幹線使えば2時間ちょっとだけど、チケットショップで回数券買っても往復15,000もかかる。
高い。痛すぎる。

普通ならここで興冷めする。
通常ラインナップと違って中古は1点ものだから売れてしまったらそれまで。行くことに躊躇して見ずに通販する度胸もないなら縁がないということで諦めるしかない。
しかし今はたまたま春休み。もちろん会社員だから春休みなんてないんだけど、学生さんが休みの時はあれが使える。

青春18きっぷ

特急には乗れないこの切符。東京まで片道5時間近く掛かる。
明日は月曜日で僕は普通に仕事なので日帰り。そうなると息子を連れていくことはできないし、夜は彼の風呂・メシ・寝るをせにゃならんので19:00には自宅に戻らないといけない。
店からの返事を待たずに朝早めの電車に乗ったのはそういう理由。もし「売れてしまいました」って言われたら引き返せばいい。

上りの東海道線の車中でお店から「お待ちしてます」の返信受領。よかった。とりあえず引き返さずに済んだ。
駅から場所がわからなくてちょっと迷ったけど、なんとかお店に到着。

用意されていた現品はおよそ中古とは思えないものだった。
多分ほとんど使われてない。裏面にちょっと打痕がある程度。
電気系統は問題ないし、トラスロッドは回した痕跡がないし、ネックも正常だし、フレットも全然減ってない。
シリアル見たら2013年4月に生産されたものらしい。
新品在庫品と変わらない状態じゃないか。多少傷があるとはいえ、これで155,000は安い。

タイムリミットが迫ってたので最低限フレットのビビリとピックアップのバランスをチェック。ここだけは慎重に。時間がないってのに30分くらい掛かってしまった。
結果問題なかったので購入決定!
雨が降ってるからってんで、ショップの人がハードケースを大きなビニール袋に入れてくれた。

で、そのままソッコー帰路へ。
電車を乗り継いでなんとか19:00ちょい過ぎに帰宅。
2,700円で東京往復できたのは安上がりでよかったけど、さすがにしんどかった…。

美しいギター

リッケンバッカーの12弦ギターはヘッドが特徴的。
普通12弦だとペグを12個つけなきゃならんのでどうしてもヘッドがバカでかくなるんだけれども、リッケンバッカーのはここが工夫されていて普通のヘッドとほとんど同じ大きさになってる。ほんとに秀逸なデザイン・機構だ。

そして音のきらびやかさは何ものにも代え難い。やっぱV-Guitarとは比較にならない。
ボディーの形も色も美しいし。
使い道はごくごく限られてるけど、持ってるだけで嬉しい。
買ってよかった。

12弦って思ったより弦を押さえるのに力がいる。運指の感覚もかなり違う。一度に2本押さえてるんだから当然といえば当然か。ギターはギターだけど,普通の6弦とは違う楽器だと思ったほうがいいのかも。

せっかく買ったんだから12弦の曲はこれ使って再録音したいなぁ。そのうち。
そしてやはり弦交換が怖いので、できるだけ弦が長持ちしてくれるよう祈るばかり。

初めて録音に使ったのはこの曲だった。イントロでコード鳴らしてるだけだけど。
https://goldmine1969.com/main/music/extra/my-sweet-lord/


宅録使用曲一覧