Gretsch G6119-1962HTPB Chet Atkins Tennessee Rose


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購入年月日2015年5月15日
購入価格¥211,111
購入場所イシバシ楽器 (池袋)


グレッチの音

宅録ビートルズ2周目もいよいよ終盤。アルバムは全て録り終え、シングル盤を時代を遡りながら録音していた。
初期の曲はパートが少ないので結構あっさりできてしまう。遡るにしたがって曲を完成させるまでに要する時間は減っていった。

We Can Work It Outをサクッと終えてお次はDay Tripper。
ドラム、タンバリン、ベース、ギター3本。全部で6トラックしか無い。演奏も難しくない。始めてしまえばすぐ終わるだろうと思ってた。

実際に録音をする前にどの楽器をどんなセッティングで録るかということをあれこれ試している。
ドラム、ベース、リズムギターはすぐ音が決まった。しかし…。

この曲のリードギターはグレッチだ。
ストラトのブライトトーンをエフェクターで強調してみたり、エピフォン・カジノにフラット弦を張ってみたり、あれこれ試した。

でもダメなんだ。どうしても「あの音」にならない。

突然行き詰まってしまった。

2周目の序盤。アルバム順で録音していた時、グレッチのパートはカジノで代用していた。あの頃は別にそれでいいと思ってた。
僕は決して音に対する感性が鋭いほうじゃない。いや、むしろ鈍い。そんな僕でも多く経験を積み重ねてきたせいか多少こだわりが出てきてしまったのかもしれない。

とにかくこのままじゃダメだ。誰かにグレッチのギター借りるか…。
 

グレッチの形

昔からグレッチのギターは嫌いだった。
音うんぬん以前に、あのなんとも言えない独特の形がダメだった。
ビートルズ好きならグレッチは憧れの楽器でなければならないのかもしれない。

ジョージ・ハリスンの最初のグレッチ・デュオジェット
duojet

ジョージのグレッチとして最も露出の多かったカントリージェントルマン
countrygentleman

使用期間は短いもののシェア・スタジアムのライブや映画「ヘルプ!」での映像が印象的なテネシアン
tennessean

ジョン・レノンがPaperback Writerのレコーディングで使用したナッシュビル。
nashville
 

初期のビートルズとグレッチは切っても切れない。
でもどれもこれも僕の美的感覚(ってほどのもんでもないが)には合わないのだ。

ビンテージは演奏性や楽器そのものに不具合があっても「ビンテージである」ということを免罪符にしてるパターンが多い。ヘフナーのバイオリンベースなんてその最たるもんだし、グレッチもそうだ。
グレッチのギターの音は特徴的すぎるが故に汎用性がなく、ボディーが大きくて扱いにくく、ビグスビーはチューニングが安定せず、ブリッジはグラグラで演奏中に動くこともある上にただの金属棒で厳密な倍音調整は不可能。
楽器としては完全に落第なのにそれをよしとするファンもいるので全く改善されない。おまけに値段も高い。

カッコ悪くて扱いにくくて値段の高いギター。
それが僕のグレッチに対する印象だ。

「あの形がいいんだよ」
「ホワイトファルコンは世界一美しいギターだよ」
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…ふーん。
まぁ人それぞれだから。それはそれでいいんじゃないでしょうか。

僕は興味が無いけどね。
 

グレッチで殴って

なにがきっかけだったのかはわからない。
テネシアンが突然僕の心を打った。

ジョージ・ハリスンが1964年あたりから2年程使っていたテネシアン。
日本ではベンジーこと浅井健一が使っていることでも有名で、椎名林檎が「丸の内サディスティック」で「ベンジー あたしをグレッチで殴って」と歌ったあのグレッチはテネシアンのことだ。

写真見ていたらあれほど毛嫌いしていたテネシアンがなんか急にカッコよく見えてしまった。
そして最近のテネシアンはブリッジが改善されているということも知った。

barbridgeテネシアンはブリッジが本体の上に乗っかっているだけで固定されていない。だからゲージの細い弦で強めに弾くとブリッジが動いてしまうこともあるらしい。
ジョージは太いゲージであまりハデにかき鳴らさなかったので大丈夫だったのかな?ベンジーはブリッジを両面テープで止めてるんだとか。
おまけにこのブリッジが金属棒1本の「バーブリッジ」なので弦ごとのオクターブ調整ができないというギターにあるまじき仕様だった。

ところが最近、本体からブリッジの台座に向かって位置決めのピンが立っていて更にブリッジそのものもバー形状から通常のアジャスタブルに変更されているモデルが登場した。作っているのは日本の寺田楽器。楽器としての信頼度は上がった…というか、ようやく普通のギターになったというところか。とにかく致命的だと思われていた不具合が解消されている。

で、全てのテネシーローズがそうなったのかというと、どうやらそうでもないらしい。
ひとことで「テネシーローズ」といっても現行モデルにはいくつかのタイプがある。整理してみると…

  • かつては「テネシアン(Tennesean)」と呼ばれていたが、商標権の事情で今はこの名前が使えずに「テネシーローズ(Tennessee Rose)」という名称になっている。型番はG6119。まずはここが共通項というか基本形というかベーシック。
  • ジョージやベンジーのテネシアンはボディーのFホールがあいていない。これはハウリング対策のために1962年頃から採用された仕様で、現行モデルでもサウンドホールが実際にあいているものと書いてあるだけのものが存在する。書いてあるだけのものは「ダミーFホール」または「シミュレーテッドFホール」と呼ばれていて、型番上ではG6119の後に-1962が入る。
  • ピックアップはもともとテネシアンについていたハイロートロンというシングルコイルタイプのものと、後年標準装備になったフィルタートロンというハンバッカータイプの2つが存在する。型番上ハイロートロンは”HT“、フィルタートロンは”FT“を付けて区別する。
  • ブリッジの動き防止のためにピンが立っているものを「ピンブリッジ」と呼んで型番上”PB“を付ける。このタイプはバーではなくもれなくアジャスタブルである。
  • 日本国内限定でラッカー塗装のタイプのものがラインナップされている。これは型番上”L“が付いている。なおこのタイプブリッジはバータイプのみである。

こんな感じ。結構複雑だ。

「汎用性のない音」はグレッチの特徴でもあるからこれは変わらずともよしということにして、残る問題は値段。

ピンブリッジタイプで、且つピックアップがオリジナルのテネシアンと同じハイロートロンのものは370,000。市場実勢価格でも290,000〜320,000。
フィルタートロンタイプは定価330,000でHTに比べるとほんのちょっとだけ安くなるんだけどやっぱり高価すぎる。僕の手に届く価格じゃない。

しょせん縁遠い楽器だったんだなぁ…と思ってあれこれ見ているうちに、アウトレット品が200,000ちょいで販売されているものを見つけてしまった。定価の43%引き。実売価格で考えても普通に買うより100,000ほど安い。
これは…「値段だけがネックだったのにお値打ち品を見つけてしまった」という、先月のリッケンバッカーと同じパターンじゃないか。

ダメ押しのパンチでノックアウト。ほぼ心が決まった。
 

グレッチにはフラット

自分で手にして初めて気がついた。このギターはゴージャスだ。

スイッチやノブに使われている部品がいちいち派手。テネシーローズはもともと廉価版ということもあってグレッチのラインナップでは比較的シックな佇まいなのだが、それでもかなり豪華な部品が使われている。

美しいじゃないか。
なるほど。グレッチオーナーはこういう点からも満足感を得ているということか。

そのスイッチ類の機能割り当てががちょっと変わってる。トーン調整はHi-Mid-Lowからの選択式だし、スタンバイスイッチなんてものも付いてる。
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スタンバイ状態だとプラグへの出力はカットされる。レバーを上下いずれかに倒すと通常通り音が出る。上でも下でも出力状態に差はない。全く同じ。

購入時に張ってあった弦はやや太めのゲージではあったがラウンドワウンドだった。
僕にとってはビートルズをやるためのギターなのでラベラのフラット弦も合わせて購入。持ち帰るやいなや早速張り替え。

この弦セットは1弦と2弦が2本入っていた。切れやすい弦なのでこういう心遣いはありがたい。
張ってる最中にいきなり1弦切ってしまったし(汗汗汗)。助かった。

カジノのおかげでビグスビーの弦交換にもずいぶん慣れた。テールピースにリングを引っ掛けた後でカポを使って弦を押さえるとリングが抜けることなく容易に交換できるので弦交換の煩わしさに悩んでいる人は是非お試しあれ。

で、ちゃんと「あの音」になった。
これで初期の曲もバッチリ!なはず(^^;;。

まずはこの曲を録音。いい感じになった。

Day Tripper – The Beatles

昨年末に臨時収入があったので今年は高額なギターを2本も買ってしまったが…そろそろ自粛せねば。

 


宅録使用曲一覧